フォロワーシップで見つける自分らしい貢献:コミュニティ・NPOでの役割創造ガイド
地域コミュニティ活動やNPOなどに参加しているものの、組織内でどのように貢献すれば良いか、自分の役割を見つけることに迷いを感じている方もいらっしゃるかもしれません。リーダーの指示を待つだけでなく、もっと主体的に活動に関わりたいという熱意をお持ちの方も多いでしょう。
本記事では、そのような方々に向けて、フォロワーシップの概念を通じて自分らしい貢献方法を見つけ、組織全体の力を高めるための具体的なステップとヒントをご紹介します。
フォロワーシップとは何か:基本的な理解
フォロワーシップとは、単にリーダーに従うことではありません。組織の目標達成に向けて、リーダーを積極的に補完し、自らも主体的に行動することで、チームや組織に貢献しようとする姿勢や行動様式を指します。
リーダーシップとフォロワーシップは相互に作用し合う関係にあり、どちらか一方だけでは組織は最大限の力を発揮できません。特にコミュニティ活動やNPOのように、多くの場合、限られたリソースとボランティア精神に支えられている組織においては、メンバー一人ひとりのフォロワーシップが組織全体の推進力となります。主体的なフォロワーが増えることで、リーダーの負担が軽減され、組織の課題解決能力や適応力が高まることにも繋がります。
自分らしい貢献を見つけるための3つのステップ
では、具体的にどのようにして自分らしい貢献を見つけていけば良いのでしょうか。ここでは3つのステップをご紹介します。
ステップ1: 自己理解を深める
まず、ご自身の内面を見つめ、何が得意で、何に興味があるのか、どのようなスキルを持っているのかを明確にすることから始めます。
- 強みとスキルを洗い出す: これまでの経験で培ってきたスキル(例: 資料作成、SNS運用、イベント企画、人とのコミュニケーション、細やかなデータ整理など)をリストアップしてみましょう。特別なスキルでなくとも、「人の話をじっくり聞くのが得意」「計画を立てて実行することが好き」といった性格的な強みも重要な要素です。
- 興味関心を見つめ直す: コミュニティやNPO活動の中で、特に心が惹かれる活動や、もっと深掘りしてみたいテーマはありませんか。例えば、広報活動に興味がある、イベントの裏方で人を支えたい、新しい企画を考えるのが好き、などです。
このステップを通じて、「以前の職場で培った資料作成のスキルを活かしたい」「人との交流が好きなので、イベントでの参加者サポートに興味がある」といった具体的な自己理解へと繋がります。
ステップ2: 組織のニーズを理解する
次に、ご自身が参加しているコミュニティやNPOが、現在どのような目標を掲げ、どのような課題を抱えているのかを把握します。
- 組織の目標と現状を把握する: 定期的な会議に参加する、団体のウェブサイトやSNSをこまめにチェックする、活動報告書を読むなどして、組織全体の方向性を理解しましょう。
- 課題や不足している役割を特定する: リーダーや他のメンバーとの会話に耳を傾け、「最近、広報活動が手薄になっている」「新しいメンバーの定着が課題だ」といった具体的な声やニーズを捉えるように努めます。また、もしリーダーから「何か手伝えることはあるか」と尋ねられた場合は、積極的に意見交換の機会として捉えることが有効です。
- 他のメンバーの役割を観察する: 他のメンバーがどのような役割を担い、どのような貢献をしているのかを観察することも、組織のニーズを理解する上で役立ちます。
ステップ3: 提案と実践:小さな一歩から始める
自己理解と組織ニーズの理解が進んだら、いよいよ自分らしい貢献を形にする段階です。
- 接点を見つけて提案する: ステップ1で見つけたご自身の強みや興味と、ステップ2で把握した組織のニーズの接点を探します。例えば、「SNS運用に興味があるが、団体の広報活動が弱いと気づいた。まずは投稿文の作成補助から提案してみよう」といった具体的なアイデアに繋がります。
- 小さな一歩から実践する: 最初から大きな役割や責任を負う必要はありません。まずは無理のない範囲で、既存の活動にプラスアルファの貢献を試みることから始めましょう。例えば、イベントの受付業務を手伝いつつ、参加者アンケートの集計・分析も担当してみる、といった形です。
- 積極的に関わる姿勢を示す: 意見やアイデアを積極的に発信するだけでなく、自ら行動を起こすことで、リーダーや他のメンバーからの信頼を得やすくなります。これは、より大きな役割を任される機会にも繋がるでしょう。
役割創造を加速させるコミュニケーションのヒント
自分らしい貢献を見つけ、実践していく上で、効果的なコミュニケーションは不可欠です。
- 建設的な提案を心がける: 課題を指摘するだけでなく、その解決策と「私にできること」を具体的に提案しましょう。例えば、「〇〇という課題がありますが、私の持つ△△のスキルを使って、□□という形で貢献できるかもしれません」というように、具体的な行動と成果を提示することが重要です。
- 積極的な情報共有と報連相: 自分の進捗や活動で気づいた点、疑問点などを、リーダーや関係するメンバーに適宜共有しましょう。これにより、活動の透明性が保たれ、連携がスムーズになります。
- フィードバックを求める・受け入れる: 自分の貢献や行動に対して、リーダーや他のメンバーからフィードバックを積極的に求め、真摯に受け入れる姿勢が成長を促します。改善点が見つかれば、それを次の行動に活かすことで、より質の高い貢献へと繋がります。
フォロワーシップが組織にもたらす価値
メンバー一人ひとりがフォロワーシップを発揮し、自分らしい貢献を見つけることは、組織全体に計り知れない価値をもたらします。
- 組織の課題解決能力向上: 多様な視点とスキルを持つメンバーが主体的に課題解決に関わることで、組織全体の対応力が高まります。
- リーダーの負担軽減と意思決定の質の向上: メンバーからの建設的なサポートや情報提供により、リーダーはより本質的な業務に集中でき、意思決定の精度も向上します。
- メンバーのエンゲージメント向上: 自分の貢献が組織に認められ、具体的な成果に繋がることは、メンバー自身のモチベーション(エンゲージメント)を高め、活動への定着にも寄与します。
- 組織の持続的な成長と活性化: 自律的なフォロワーシップが組織全体に浸透することで、組織は変化に強く、より活発な活動を展開できるようになります。
まとめ
コミュニティやNPOでの活動において、フォロワーシップは単なるサポート役にとどまらず、自分らしい貢献を見つけ、組織の力を高めるための重要な鍵となります。
ご自身の強みと組織のニーズを結びつけ、小さな一歩からでも具体的な行動を始めることで、活動はより充実し、組織もまた新たな活力を得られるでしょう。指示を待つのではなく、自ら考え、行動することで、あなたも組織を共に支え、高めていくことができるのです。ぜひ本記事でご紹介したステップを参考に、フォロワーシップを通じて自分らしい役割創造に挑戦してみてください。